「良いもの探訪記」 Vol.5 山口県下関市
前書き
「良いもの探訪記」は、日本医食同源研究所が気になる“良いもの”に会いに行くコーナーです。なぜこの地域にこの食材があるのか、地域にどのような根付き方をしているのか、どのように良いものなのかをご紹介していきます。
古くから水産業で栄えた下関市
今回訪ねたのは、本州最西端・山口県下関市。日本海や瀬戸内海に面し、 関門海峡を隔てて九州と対峙し三方を海に囲まれているため、古くから港町として栄えてきたという歴史があります。また、日本で水揚げされるトラフグ、マフグ、サバフグなど天然物の8割近くが集まり、また養殖トラフグの大部分が集まるフグの一大集散地であることが下関市を全国区になったきっかけと言っても過言ではないでしょう。
ところで、日本全国にはおよそ2790か所もの漁港があります(2020年4月現在)。そのなかで漁港漁場整備法の第3種漁港(利用範囲が全国的なもの)に指定されているのはたったの13漁港。下関漁港はその一つです。1966年には下関漁港が日本一の水揚げだったこともある名実ともに著名な漁港です。
年々、下関の水揚げ高は減少し続けている
上のグラフは、少し古いデータではありますが、下関の漁獲高を示しています (出典:中国四国農政局)。2005年から2015年の10年間で、約47%も減少しています。第3種漁港に指定され、しかも、フグやクジラなど、特産の水産物があるにもかかわらず、年々、下関は水揚げ高が減少しています。なぜなのでしょうか。
以西底引き網漁業の撤退が影響している?
これまで、下関漁港を支えてきたのは、主に以東底引き網、以西底引き網といった漁法で獲ったものでした。現在、下関は以西底引き網から撤収し、それが下関漁港のインパクトが減った要因の一つと言えそうです。しかしそれだけではないと思い、下関市水産振興課の方が下関漁港の水揚げ高低下の要因として考えられることをお聞きしました。要約すると、以下のようになります。
・以西底引き網の撤退は大きい
・陸上交通の発達によって下関港の優位性が低下
・遠洋・沖合において魚、魚食が国際化されてきて、国外からの漁獲量が増えた
・漁業従事者が年々減少している
水産市場の人が感じている危機感
“市民の台所”として親しまれている唐戸市場で働く方々はどう考えているのでしょうか。
「ここ唐戸市場には、かつて競り機能がありましたが、今はその機能は漁港に移りました。そして唐戸市場は主に観光向けの市場となったのです。結果、魚を購入する仲買人が減ったことで他の地域に水揚げされていくことも一因ではないかと思います」。週末には寿司販売があり、多くの観光客が訪れる、観光に特化した市場に生まれ変わったものの、現地での水揚げ高がより減っていくと、唐戸市場もいつか閉鎖してしまうのではないか、という危機を感じていると話してくれました。
商品を通じて、下関を盛り上げていく
では今後、下関は活性していかないのか、というと決してそうではありません。三方が海に囲まれている素晴らしい立地、その恩恵でお魚も美味しい下関。フグやクジラが有名ですが、もちろんそれ以外にも特産、名産はたくさんあります。また、この地の利を生かし、魚類を加工した商品化し健康増進に貢献する企業も存在します。その一つがペプチドリップ株式会社。イワシやカツオなどをペプチド化した、味も栄養も抜群の極上の『ペプチドだし』が主力商品です。JIDLでは下関の人も街も元気にしたい、『ペプチドだし』を通じて日本全国、世界の人たちを元気にしたいという気持ちからこの商品をプロデュース。今後、この商品をきっかけに下関の活性化に貢献していきたいと思います。