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【記事】「免疫ケア」〜JIDL管理栄養士と覗く健康トレンド〜

このシリーズでは、JIDLの管理栄養士が巷で話題の健康トレンドや食事についての情報を発信していきます!

■健康維持のために欠かせない「免疫」
現代社会では、感染症や慢性的なストレスが免疫機能に影響を与える中、"免疫ケア" が注目されています。ここでは、管理栄養士の視点から、最新の健康トレンドも取り入れた免疫ケアの効果的なアプローチをご紹介します。


免疫の基礎知識

免疫とは、体内に侵入したウイルスや細菌を排除し、健康を守る防御システムです。このシステムは大きく以下の3つに分類されます。

  1. 自然免疫: 生まれながらに備わる防御機能で、異物を速やかに排除。

  2. 獲得免疫: 異物を特異的に認識し、記憶して次回の感染を防ぐ機能。

  3. 腸管免疫: 腸内細菌のバランスが免疫システム全体に影響を与える。

免疫力を高めるためには、栄養バランスの良い食事、適度な運動、質の高い睡眠、そしてストレス管理が重要です。

管理栄養士からのアドバイス 

1.バランスの取れた食事:免疫の土台を築く

免疫機能を支えるためには、栄養バランスの良い食事が欠かせません。特に以下の栄養素が重要です

  • ビタミンC:抗酸化作用が強く、免疫細胞を活性化します。みかんやキウイ、パプリカは手軽に摂取できる代表的な食品です。特にキウイは食物繊維やビタミンEも豊富で、相乗効果が期待できます。

  • ビタミンD: 免疫細胞の調整に関与し、感染症予防に重要です。鮭やきのこ類、卵黄が主な供給源で、特に鮭はオメガ3脂肪酸も含み、炎症抑制効果があります。

  • 亜鉛: 免疫細胞の増殖や機能をサポートします。牡蠣は最も豊富な供給源で、ナッツ類や全粒穀物も手軽な選択肢です。亜鉛不足は感染症リスクを高めるため、意識して摂取しましょう。

2. 食物繊維と発酵食品の摂取:腸内環境を整える

腸は"第二の脳"とも呼ばれ、免疫システムと深い関わりがあります。発酵食品には腸内フローラを整えるプロバイオティクスが豊富に含まれており、以下のような食品がおすすめです。

3.水分補給

十分な水分摂取は、体内の老廃物を排出し、免疫細胞の機能を高めます。

■水分補給が免疫に与える影響

体液の循環を促進
血液やリンパ液の流れがスムーズになることで、免疫細胞が体内を巡回しやすくなります。これにより、異物の検知と除去が迅速化されます。

粘膜を保護
喉や鼻の粘膜が十分に潤うことで、細菌やウイルスが体内に侵入するのを防ぎます。乾燥した粘膜は免疫力が低下するため、水分補給は特に重要です。

老廃物の排出
水分は体内で発生した老廃物や毒素を排出する役割を果たします。これにより、免疫システムが過剰な負担を受けるのを防ぎます。

体温調節
発熱や炎症が起きた際、適切な水分補給は体温調節を助け、免疫の働きをサポートします。

4.睡眠とストレス管理:免疫力を高める習慣

質の良い睡眠と適切なストレス管理は、免疫ケアにおいて重要な要素です。特に、睡眠中に分泌される成長ホルモンは、免疫細胞の修復と再生を促します。また、マインドフルネス瞑想や深呼吸などのストレス緩和法を日常生活に取り入れることが効果的です。

5. 適度な運動:免疫細胞の活性化

ウォーキングやヨガ、軽いジョギングなどの適度な運動は、免疫細胞を活性化させ、全身の血液循環を改善します。ただし、過度な運動は逆に免疫機能を低下させる可能性があるため注意が必要です。

最新の健康トレンド

1. 腸活ブーム

国内外で「腸活」がブームとなっている今、
ヨーグルトやキムチ、味噌などの発酵食品が再び脚光を浴びています。これらの食品は、腸内環境を整える「プロバイオティクス」を豊富に含み、腸管免疫の活性化に寄与します。特に、食物繊維を含む「プレバイオティクス」との組み合わせて用いる「シンバイオティクス」が注目されています。

2. 植物由来の免疫サポート食品

ハーブや植物成分を利用した商品もトレンドです。これらは、自然志向の消費者に支持されています。

スーパーフードとして知られるエキナセア、アシタバ、マキベリーなど、植物由来の成分が免疫調整作用を持つとされています。これらを含むサプリメントや飲料が市場で人気を集めています。
エキナセア、アシタバ、マキベリーが免疫に良いとされる理由を解説します。それぞれの植物には、免疫機能をサポートする特定の成分や作用があります。


エキナセア(Echinacea)
【主な効果】
・免疫細胞の活動を活性化(特にマクロファージや自然免疫系の細胞)。
・抗炎症作用があり、感染症の進行を抑制。

【成分と作用】
・多糖類
: 白血球を活性化し、異物の排除をサポート。
・アルキルアミド: 抗酸化作用があり、炎症を抑える働き。
・カフェ酸誘導体: 抗ウイルス作用を持つ。

エキナセアは特に風邪やインフルエンザの予防・軽減効果で注目され、欧米ではハーブティーやサプリメントとして人気です。


アシタバ(Angelica keiskei)
【主な効果】
・免疫細胞の生成と再生を促進。
・抗酸化作用により、体内の炎症や酸化ストレスを軽減。

【成分と作用】
・チャロコン
: 天然のフラボノイドで、細胞の修復や炎症抑制効果がある。
・ビタミン群(B、C、E): 免疫システムの正常な働きを維持。
・食物繊維: 腸内環境を整え、腸内免疫を強化。

アシタバは「健康長寿の野菜」として知られ、抗酸化作用を持つ成分が免疫機能全体をサポートするとされています。


マキベリー(Maqui Berry)
【主な効果】
・抗酸化力が非常に高く、免疫細胞の老化を防ぐ。
・炎症性疾患を軽減する可能性。

【成分と作用】
デルフィニジン: ポリフェノールの一種で、抗炎症・抗ウイルス作用を持つ。
アントシアニン: 強力な抗酸化物質で、免疫システムをサポート。
ビタミンC: 抗酸化作用に加え、白血球の働きを活性化。

マキベリーは抗酸化力が最も高いフルーツの一つとされ、体内の炎症を抑えながら免疫機能をサポートすることで知られています。


3. 個別化栄養プラン

遺伝情報や腸内フローラの解析を基に、一人ひとりに適した栄養プランを提案するサービスが増加中。免疫の状態や弱点を特定し、ターゲットを絞ったアプローチが可能になっています。

■参考サービス
「Mykinso(マイキンソー)」

マイキンソー(Mykinso)は、株式会社サイキンソーが提供する、
自宅で簡単に腸内の様子を調べることができる腸内フローラ検査サービスです。

まとめ

免疫ケアは特定の食材や習慣に偏るのではなく、バランスの取れたアプローチが鍵です。日常生活に小さな改善を取り入れることで、無理なく健康的な生活を目指しましょう。最新の健康トレンドを参考にしながら、自分に合った免疫ケアを実践してみてください。

動画はこちら!