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「良いもの探訪記」 Vol.3鹿児島県南九州市 紫芋蜜


前書き

「良いもの探訪記」は、日本医食同源研究所が気になる“良いもの”に会いに行くコーナーです。なぜこの地域にこの食材があるのか、地域にどのような根付き方をしているのか、どのように良いものなのかをご紹介していきます。

■300年前から伝わる伝統の食材

今回訪ねたのは、南薩摩半島・鹿児島県南九州市。この地が、およそ300年前に伝わったサツマイモの聖地であること、サツマイモから作ったあめんどろ(この地では芋蜜のことを『あめんどろ』と呼んでいます)が美味しく、健康的な食材であることが訪ねた理由です。
この地の人たちは、昔からこの蜜を、疫病除け、長寿の蜜として重宝してきました。それは300余年の時を経た現代でも、変わることのない伝統の習わしとして大切に受け継がれています。

そしてもう一つ、訪ねた理由があります。それはこの地域における、あめんどろの生産者がたった一軒であることです。その一軒とは「唐芋農場」。「この地に代々伝わる食材を絶やしてはいけない。その一心でした」と話すのは、5代目代表・別府大和氏。別府氏を筆頭に、唐芋農場の若者が中心になってあめんどろの伝統を守っています。

■「自然」にこだわる

芋蜜づくりに使用する原料は、自社農場で農薬や化学肥料に頼らない農法で育てられた紫芋。「砂糖はもちろん、着色料、 香料、保存料など一切の添加物を使用せず、100%紫芋だけで作っています」(別府氏)。自然にこだわり、添加物を使用しないということは、それだけ生産が大変なのではないでしょうか。「もちろん大変ではあるのですが、農薬や化学肥料に頼らないおかげで、収穫の時期には畑のあちこちにトンボが飛んでいて癒されます」と別府氏は笑います。

■美味しくて甘い紫芋の芋蜜

「添加物は一切使っていないのにとても甘く美味しく、健康に良い成分がたくさん含まれているんですよ」(別府氏)。当社団で調べたところ、別府氏の言葉通り、このあめんどろは、食物繊維量は蜂蜜の約 30 倍、ポリフェノール量はブルーベリー の約 3.7 倍ありました。老若男女、誰でも食せる、世界一人にやさしい天然の蜜です。

鹿児島県はサツマイモの産地ということは以前から知っていましたが、紫芋のことはほとんど知りませんでした。また紫芋から作った芋蜜がこんなにも美味しく健康にも良いということも初めて知りました。これから、多くの人たちがあめんどろを知り、多くの人の健康の一助になっていくことを願う旅となりました。